フォークリフト整備の重要性とは?自分でできる日常点検から定期メンテナンスまで解説!

フォークリフトの整備は、日々の安全な業務遂行と、機械の寿命を最大限に延ばすためには不可欠です。

 

適切な整備・メンテナンスは、予期せぬ故障による作業効率の低下や、重大な事故のリスクを未然に防ぎます。

 

そこで本記事では、自分でできる日常点検から、専門業者に依頼すべき定期メンテナンス、修理料金の目安まで網羅的に解説します。

 

合わせて、フォークリフトの整備に関する資格や資格取得のメリットなども解説するので、

フォークリフト整備士の求人や年収、将来性が気になる方も、ぜひ参考にしてください。

 

フォークリフト整備の重要性

 

 

フォークリフト整備は、日々の業務を安全かつ効率的に行ううえで欠かせない業務です。

 

定期的な整備を怠ると、故障による作業効率の低下、事故のリスク増加、フォークリフトの寿命低下など、さまざまな問題が発生します。

 

これらの問題を未然に防ぎ、フォークリフトの性能を最大限に引き出すため、適切な整備を実施しましょう。

 

次項で、フォークリフト整備の重要性について詳しく解説します。

 

 

故障による作業効率の低下を防ぐ

フォークリフトは、タイヤやオイルなどの部品が摩耗・劣化すると、走行性能や荷役能力が落ち、作業効率が低下する原因になります。

 

こうしたトラブルを防ぐには、定期的な点検が必要です。

 

点検によって不具合を早期に発見し、必要な修理や部品交換を行うことで、突発的な故障を未然に防げます。

 

もし故障が発生してしまうと、フォークリフトが使用できず、代替機の手配や修理対応に時間がかかります。

 

その結果、作業が予定通りに進まず、大きな遅延に繋がるケースもあるでしょう。

 

定期的な整備は、これらのリスクを最小限に抑え、安定した作業環境を維持するために不可欠と言えます。

 

事故のリスクを軽減する

整備不良のフォークリフトは、操作ミスや部品破損を引き起こし、重大な事故に繋がる危険性があります。

 

例えば、ブレーキの故障があれば、停止距離が伸びたり操作不能に陥ったりして、人や物への衝突リスクが高まります。

 

さらに、フォークが破損すれば荷物の落下や車体の転倒に繋がり、作業者が大けがを負う可能性もあるでしょう。

 

実際に、厚生労働省の統計でもフォークリフトによる労働災害は依然として多く、その多くは点検・整備の不足が原因とされています。

 

こうしたリスクを防ぐには、日常的な点検と定期的な整備が欠かせません。

 

安全な作業環境を維持するためにも、フォークリフトの整備は最優先で取り組みましょう。

 

フォークリフトの寿命を伸ばす

フォークリフトを長く安全に使い続けるためにも、定期的なメンテナンスは欠かせません。

 

劣化や摩耗した部品を早めに交換することで、車両全体への負担を軽減し、故障のリスクを抑えられます

 

例えば、エンジンオイルや作動油を定期的に交換すれば、エンジンや油圧装置の性能を維持でき、トラブルの予防に繋がります。

 

また、車体をこまめに清掃したり、防錆処理を施したりすれば、錆による腐食を防ぎ、外観を綺麗な状態に維持することも可能です。

 

こうした日々の積み重ねが、結果的にフォークリフトの寿命を大きく延ばすことに繋がります。

 

自分でできるフォークリフトの整備項目(始業前点検)

 

 

出典:ハナフォークリフト

 

フォークリフトの始業前点検は、作業を始める前に車両の状態を確認し、安全な運転を確保するために欠かせない作業です。

 

フォークリフトの始業点検(作業開始前点検)では、労働安全衛生法第151条の25により、下記の点検が義務付けられています。

 

  • 制動装置および操縦装置の機能
  • 荷役装置および油圧装置の機能
  • 車輪の異常の有無
  • 前照燈、後照燈、方向指示器および警報装置の機能

 

実際に確認すべき主な点検ポイントは、下記の通りです。

 

点検ポイント

詳細

エンジンオイル・冷却水・バッテリー液の確認

量が適切か、漏れがないかを確認

タイヤの空気圧、摩耗の点検

空気圧は十分か、摩耗やひび割れ、異物の刺さりがないかを確認

ブレーキ・ライト・ホーンの作動確認

ブレーキの効き、ライトの点灯、ホーンの音が正常かを確認

フォーク・チェーン・油圧シリンダーの点検

亀裂や変形、油漏れがないかを確認

各部の清掃と締め付け確認

砂や油汚れを拭き取り、ボルトやナットの緩みがないかを確認

 

もし細かい点検項目を知りたい方は、厚生労働省が公開している「フォークリフト作業開始前点検表」を参考にすると良いでしょう。

 

始業前点検を確実に行うことで、フォークリフトの故障や事故を防ぎ、安全な作業環境を維持できます。

 

フォークリフトの定期メンテナンスの項目と頻度

 

 

出典:ハナフォークリフト

 

フォークリフトを安全かつ長く使用するためには、日常点検だけでなく、定期メンテナンスも欠かせません。

 

また、法律でもフォークリフトの定期点検は義務付けられています

 

法令で定められた定期点検には、下記の2種類があります。

 

  • 月次点検(定期自主検査)
  • 年次点検(特定自主検査)

 

次項で、それぞれの点検内容と実施頻度について詳しく解説します。

月次点検(定期自主検査)

月次点検は、労働安全衛生法第151条の25に基づいて、1ヶ月以内ごとに1回以上の実施が義務付けられています。

 

この点検は、日常点検では見落としがちな部分や、

より専門的な知識を求められる項目をチェックし、フォークリフトの安全性を維持するために行います。

 

月次点検(定期自主検査)の点検項目については、下記の通りです。

 

  • 制動装置および操縦装置の機能
  • 荷役装置および油圧装置の機能
  • 車輪の異常の有無
  • 前照燈、後照燈、方向指示器および警報装置の機能

 

具体的には、ブレーキやクラッチの動作確認、油圧装置のオイル漏れや異音の確認、フォークの変形や損傷の確認などを行います。

 

これらの点検は、厚生労働省が公開している「定期自主検査指針」を参考にしながら進めると良いでしょう。

 

年次点検(特定自主検査)

年次点検は、労働安全衛生法第151条の21に基づき、1年以内ごとに1回以上行う必要がある詳細な点検です。

 

点検は、厚生労働省の定める「検査資格者」または認定業者のみが実施できます。

 

年次点検(特定自主検査)の点検項目については、下記の通りです。

 

  • 圧縮圧力、弁すき間その他原動機の異常の有無
  • ディファレンシャル、プロペラシャフトその他動力伝達装置の異常の有無
  • タイヤ、ホイールベアリングその他走行装置の異常の有無
  • かじ取り車輪の左右の回転角度、ナックル、ロッド、アームその他操縦装置の異常の有無
  • 制動能力、ブレーキ、ドラム、ブレーキシューその他制動装置の異常の有無
  • フォーク、マスト、チェーン、チェーンホイールその他荷役装置の異常の有無
  • 油圧ポンプ、油圧モータ、シリンダー、安全弁その他油圧装置の異常の有無
  • 電圧、電流その他電気系統の異常の有無
  • 車体、ヘッドガード、バックレスト、警報装置、方向指示器、灯火装置および計器の異常の有無

 

具体的には、フォークリフトの安定度テスト、エンジンや動力伝達装置の性能評価、

車体の歪みや亀裂の確認、電気装置の絶縁抵抗測定などを行います。

 

これらの点検は、専門的な知識や技術、測定機器を必要とするため、一般的には専門の業者に依頼して実施します。

 

フォークリフトの寿命を伸ばすためのポイント

 

 

フォークリフトの寿命を伸ばすためには、日々の運転方法と定期的なメンテナンスが重要です。

 

具体的には、急発進や急停止を避け、過積載をしない、異変に気づいたらすぐに対応するといった対策がおすすめです。

 

これらのポイントを抑えることで、フォークリフトの寿命を延ばし、安全な作業環境を維持できます。

 

次項で、それぞれのポイントについて詳しく解説します。

 

急発進、急停止の禁止

急な操作は、タイヤやブレーキなどの部品に過度の負担をかけ、摩耗や損傷を早める原因の1つです。

 

例えば、急発進はタイヤの空転を引き起こし、摩耗の進行を加速させます。

 

一方で、急停止はブレーキパッドやブレーキオイルに過剰な負荷をかけ、部品の劣化を早める可能性があります。

 

こうした乱暴な操作は、フォークリフトの寿命を縮めるだけでなく、

荷崩れや車両の転倒など、重大な事故に繋がるリスクもあるため注意が必要です。

 

安全性と車両の長期使用を両立させるためにも、常に丁寧な操作を心がけましょう。

 

過積載の禁止

過積載は、フォークリフトのフレームやフォークなどの部品に過度の負荷をかけ、変形や破損を引き起こす原因になります。

 

例えば、定格荷重を超える荷物を持ち上げると、フォークが曲がったり、フレームに亀裂が入ったりする可能性があります。

 

これらの損傷は、急発進や急停止と同様に、フォークリフトの寿命を縮めるだけでなく、

荷崩れやフォークリフトの転倒などの重大な事故に繋がる可能性もあるため注意が必要です。

 

安全性を確保し、フォークリフトを長く使い続けるためにも、必ず定格荷重を守りましょう。

 

異変に気づいたらすぐに対応

フォークリフトに異変を感じたら、すぐに対応することも大切です。

 

異音・異臭・操作性の低下などの異常を放置すると、軽微なトラブルが深刻な故障へと発展し、

修理費が高額になったり、フォークリフトの寿命を縮めたりする原因になります。

 

そのため、異常に気づいたら使用を中止し、速やかに点検・修理を行いましょう。

 

早期の対応は、フォークリフトを長く安全に使うための基本です。

 

フォークリフトの整備・メンテナンスに関する資格

 

 

フォークリフトの整備・メンテナンスに関する資格は、

専門的な知識や技術を証明するものであり、キャリアアップや業務の幅を広げるうえで役立ちます。

 

具体的には、下記のような資格があります。

 

  • 産業車両整備技能士
  • 検査業者検査員
  • 事業内検査者

 

次項で、それぞれの資格について詳しく解説します。

 

産業車両整備技能士

産業車両整備技能士は、フォークリフトをはじめとする産業車両の整備に関する国家資格です。

 

この資格を持つ者は、車両の構造や機能に関する専門知識と、

点検・分解・修理・調整といった高度な整備技術を有していることが証明されます。

 

例えば、エンジンのオーバーホールやトランスミッションの修理、油圧装置の調整など、専門的な作業を行うことが可能です。

 

なお、等級は「1級」と「2級」があり、上位等級になるほど、より深い知識と高い技術力が求められます。

 

検査業者検査員

検査業者検査員は、フォークリフトの特定自主検査(年次点検)を実施するために必要な資格です。

 

この資格を持つ人は、フォークリフトの構造や機能、関連する法令に関する知識を備えており、

検査の計画立案・実施・記録作成などを適切に行うことが求められます。

 

実際の業務では、安定度テスト、ブレーキ性能の確認、電気装置の絶縁抵抗の測定など、高度で専門的な検査作業を担当します。

 

検査業者検査員は、特定自主検査を行う登録検査業者に所属し、フォークリフトの安全性を確保するうえで欠かせない存在です。

 

事業内検査者

事業内検査者は、自社で使用するフォークリフトの特定自主検査(年次点検)を行うための資格です。

 

この資格を持つ者は、フォークリフトの構造や機能、関連法令に関する知識を基に、自社内での年次点検を自ら行うことが可能です。

 

具体的には、下記の業務を担当します。

 

  • 検査計画の作成
  • 点検の実施
  • 点検記録の作成・管理
  • 不具合箇所の修理や報告

 

事業内検査者は、自社で点検を完結できるため、点検業務の効率化やコスト削減にも貢献します。

 

また、法令を遵守しつつフォークリフトの安全性を高いレベルで維持するうえで、重要な役割を担う存在です。

 

フォークリフトに関する資格を取得するメリット

 

 

フォークリフトに関する資格を取得すれば、資格手当による収入アップや、

多岐にわたる業界での需要により仕事の選択肢が広がり、安定した雇用が期待できます。

 

また、自社での整備・点検が可能になることで、業務効率とコスト削減にも繋がるでしょう。

 

次項で、具体的なメリットについて詳しく解説します。

年収アップに期待できる

資格取得によって専門的な知識や技術が身につき、より高度な業務を担えるようになるため、年収アップが期待できます。

 

例えば、産業車両整備技能士の資格を持つ者は、複雑な整備や検査業務を担当できるようになり、

無資格者よりも高い給与を得やすい傾向があります。

 

また、企業によっては、資格手当が支給される場合もあるため、収入面での恩恵は大きいです。

 

これらのことから、資格取得は収入向上に繋がる可能性が高いと言えるでしょう。

 

仕事の選択肢が広がる

資格は専門的な知識や技術の証明となり、さまざまな企業や現場で活躍できる可能性が広がります。

 

例えば、検査業者検査員の資格を持つ者は、検査業者や整備工場などで、フォークリフトの安全性を確保する業務を担えます。

 

また、事業内検査者の資格を持つ者は、自社のフォークリフトの点検・整備業務を担うことが可能です。

 

これらの資格は、専門性を証明し、キャリアの幅を広げるうえで有利に働くでしょう。

 

需要がある

フォークリフトは物流や製造現場において欠かせない存在であり、

安全な運行を維持するために、専門的な知識や技術を持つ人材が常に求められています。

 

例えば、産業車両整備技能士は、整備工場や建設現場などで、フォークリフトの点検・整備業務を担ううえで欠かせません。

 

また、検査業者検査員や事業内検査者は、フォークリフトの特定自主検査を行ううえで不可欠な存在です。

 

これらの資格を持つ人材は、常に一定の需要があり、安定した雇用に期待できます。

 

整備や年次点検などを自社で完結できる

事業内検査者の資格を持つ従業員がいれば、専門業者に依頼することなく、自社でフォークリフトの特定自主検査を行えます。

 

これにより、点検費用の削減や点検スケジュールの調整が容易になり、業務効率の向上に繋がります。

 

また、自社のフォークリフトの状態を常に把握し、適切なメンテナンスを行えば、

故障や事故のリスクを低減できるため、結果的に経費削減にも繋がるでしょう。

 

フォークリフトの修理料金目安

 

 

フォークリフトの修理料金は、故障の種類や修理の規模によって大きく異なりますが、一般的な目安は下記の通りです。

 

修理規模・相場

内容

軽微な修理

(1万円~5万円)

  • バッテリー端子の清掃や交換
  • オイル交換(エンジンオイル、ミッションオイル)
  • ヒューズ交換
  • ライトや警告灯の交換
  • タイヤ交換(1本あたり1万円~3万円)

中規模な修理

(5万円~20万円)

  • ブレーキパッド・ブレーキシュー交換(5万円~10万円)
  • 油圧ホースやシリンダーの修理・交換(5万円~15万円)
  • スターターやオルタネーター交換(8万~15万円)
  • バッテリー交換(電動フォークリフトの場合は10万~30万円)

大規模な修理

(20万円~50万円以上)

  • エンジンのオーバーホール(30万~50万円)
  • 油圧ポンプの交換(20万~40万円)
  • ミッション・トルクコンバーターの修理・交換(30万~50万円)
  • フレーム・マストの修理(状況によっては50万円以上)

 

上記の修理費用には、部品代と工賃が含まれています。

 

また、メーカー純正部品か社外品かによって費用が変わる場合があるため注意しましょう。

 

出張修理の場合は、出張費(1万円〜3万円)がかかるケースもあります。

 

具体的な修理料金については、業者に見積もりを取るのがおすすめです。

 

フォークリフト整備で安全と効率を両立しよう!

 

 

出典:ハナフォークリフト

 

フォークリフトは、物流現場において欠かせない存在ですが、

安全かつ効率的に使用するためには、日頃の点検や定期的なメンテナンスが重要です。

 

始業前点検から月次点検、年次点検まで、日常的なメンテナンスを継続することで、

故障やトラブルを未然に防ぎ、フォークリフトの寿命を延ばせます。

 

本記事で紹介した点検項目や整備のポイントを参考に、安全と効率を両立した運用を目指しましょう。

 

なお、フォークリフトの購入を検討されている場合は、

中古フォークリフト販売台数10,000台以上の実績があるハナフォークリフトにご相談ください。

 

ご希望の条件(動力・トン数・ご利用用途など)を伺えましたら、おすすめのフォークリフトをご案内いたします。

 

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